とうとう「(秘)色情めす市場」'74 田中登を鑑賞してきました。ラピュタにて。
たまには画像も入れたいなと思い、CDジャケットですがコチラをUPしますね。(この作品だけのサントラじゃないけど)
コレ、カッコイイですよね。
作品自体の構図もカッコイイものばかりでしたよ。
観終わったあとは全然芹明香っぽくもないのに何となくそういう気分に浸りたくなりました。
で、この作品、ホントすごく良かったです。すっごく好きだな~と思ったので、言葉にできるのか心配しちゃいました。とにかく観て感じることができて嬉しかったです。リアルタイムだったら女のわたしは観に行きづらかったんだろうと思うと、常々生まれる時代を間違えたと言っている自分も、これでよかったのかなと思えました。
トメ(芹明香)はお母さん(花柳幻舟)も同じ商売で、病気の弟(夢村四郎)がいます。外に出れない弟に対しては母性溢れる優しい仕草や表情で慰安し、外界の売春斡旋女将である絵沢萠子には反抗したいとうらぶれます。
母の男とも関係し、そこに被害者意識は感じません。お母さんじゃタタナイと言う情夫や、チェンジしてくれと訴える客に、楽しもうな~と代わります。
彼女の唯一長生きしてほしいと願う弟が、こんにゃくだけでなく彼女のお口を添えられて感じたしあわせのあと、一人で高い高い所へ彷徨い歩き、道連れのニワトリを飛ばせようとするシーン。カラミがないのに長かったので、考えながら見入りました。そしてとうとう狭くてひとけのない商店街から誰も高くて行かれないところへ飛んでいったのです。
「一緒に行かないか」初めて男に言ってもらえた嬉しい言葉に彼女は「ここが相性ええんや」と振り切りながら微笑みます。この街が自身を表すように、否定もできないし逃げてくこともしないのです。
はらんでもお金が必要だからと男を捕る母の嘔吐の醜さに、目をそらさず自分や弟をかぶせて冷静に考えてしまう彼女の虚ろな表情は、憂いを含む強い美にぴったりだと思いました。ただのアンニュイには出せない迫力を感じます。
実際芹明香の顔は吹き出物だらけの美人とは言えないタイプの造り。ケバイ化粧に痩せたカラダ、くしゃっとゆるいウェーブの髪は、何がどうと言えない女臭さがあります。
その臭みが映画全体にたちこめていて、たまらない汚し美となってフィルムに収められていました。
70年代に生まれた子どもは90年代のバブル後よく言われる失われた十年とされる時期に青春を迎え、正社員になれずそのまま流れ、いつも犯罪や鬱屈した心をニュースで密かに共感していたわたしたちは、この年頃になってもやる気がない世代という独特のムードを他世代から見ると感じるのだろうと考えもしていて、そういう何ものかを表現してくれてる映画を74年のロマンポルノ作品に見つけると、特別な縁さえも感じてしまうところがありました。影というか裏のような気持ちで生きてる感があるのは世代的特徴なのかよく知りませんが、若いミュージシャンが売れることを躊躇しないのに驚くこと自体、少しだけ線が引かれる部分かもしれません。いくら年齢なんて関係ないと言っても何ものかが違ってるのは仕方がないなと思います。
―追記::トメが魅かれた男、「一緒に行こう」と言ってくれた男は、指名手配の顔によく似ていて、そうだったらいいのにと思っています。ちょっとコレ書きたかった。 05/17 22:10
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