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2009年6月24日 (水)

好き放題でも自由じゃないね

「噛む女」'88 神代辰巳 を鑑賞。シネマヴェーラで。

AV業界のオフィス社長をしている夫(永島敏行)が、学生時代は自主映画も撮っていたらしく、常に映画をよく観ていて、映画を頼りに業界で猛進する様子がうかがえます。 と同時にピリピリした神経質さも出ていて、浮気云々以前に普通の家庭というものを軽く考えてるのもいかにもな感じで、やだな~こういうタイプと思っていたら、次第に強がってるようなフシが見え隠れしてきて、単純に突き放せない雰囲気を感じたので、何となく行動や気持ちの流れを自然に追って観れました。

敵とおぼしき女性同士のたくらみ、自作自演、という部分は想像できなくもなかったけど、家庭不和やサスペンスタッチなストーリー云々より、この夫や周囲の男たち世代(当時32歳くらい)は「いつまでも青春の延長のように生きてる」という批評があったらしく、上向きな時代にちょうど家庭も仕事も遊びもできる年頃がハマっちゃったやり手の男たちの、自主映画やAVを監督する芸術家肌で業界風な、たくさんの酒や女を自由に扱えることが美徳となるような独特な雰囲気が、都会で研磨される男女のプライドの高さや孤独の像として見えてくるようで、作中の誰とも共感できないながらも、受け入れられないものではありませんでした。

なので、わたしが最も苦手とする贅沢な倦怠感やスカしてるという表面的な印象よりも、昔からの映画業界神話に憧れてる万年映画青年の、現実的な家庭に対する違和感を器用に処理できなかった男の話として受け取ったので、感じるものがありました。

ちなみに個人的なチェックとしましては、オフィスの女(戸川純)が、いくつかワンピースを着てましたが、わたしが小学校のとき似たようなチューリップ柄(!)の肩パット付きブラウスを持ってたので、お、と懐かしくなりました。 あと、「好きな人はみな既婚者」と言う玩具デザイナーの“噛む女”(余貴美子)が、不倫やストーカーちっくな行動と暗さがムンムンで、そのターゲットの男(永島)の妻(桃井かおり)と、娘が好きな大量のぬいぐるみ購入を通して知り合い、それが重要な展開のきっかけになる、というのが気に入りました。(神代クマさん作品にくまのぬいぐるみが出てるとどんな使われ方であれ嬉しくなります。)どうりでわんさかぬいぐるみに囲まれた生活してると思った~。

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